翼~開け放たれたドア~
雷が側にいてくれることにホッとする。

熱に包まれて、それに私は自分でも驚くほどに安心感を覚えていた。

「雷…」

「なんだ?」

「……好き」

「ふっ、そっか」

雷には、何かあったら話すことが多いから、天使の話も、好きがわかってきたことも言っていた。

だから、たまに好きを伝えるようになった私に、いつでも笑いかけてくれる。

「あり、がと……」

うまく伝えられたかな?

だけど、そんなことを考える前に私は

「……ごめん、な…、春輝……」

雷の悲しそうな、泣きそうな声を最後に、意識を手放していた。
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