翼~開け放たれたドア~

不安

~雷 side~

「…寝たか」

規則的な呼吸音が伝わってきて、俺はホッとした。

スヤスヤと眠る春輝の髪を手櫛でそっとすく。




──いきなり春輝が帰ってきたと思ったら、しがみついてくるからビックリした。

すんげえ震えてるから、何があったんだって焦ったけど…。

あーあ、ついに動き出したかな。

まぁでも、まだ今は大丈夫だろうけどな。

多分…、これからしばらくはまた動きが止む。

今回のはきっと、春輝の居場所と現状を確認するためだけのことだろうから。

赤城組か…。

ほんと、解放されたと思ったんだけどなぁ…。

あの人がいなくなった今でも、逃れられないんだよな。

お前も。俺も。

「……はー。やっぱ、辛いなぁ……。はは…」

かすれた笑い声が部屋に響く。
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