翼~開け放たれたドア~
ポツンと残された私。

すると、すごく胸がギューって締め付けられて苦しくなった。

「おーい、もってきた…ってうわっ!!」

扉をあけて入ってきた雷に飛びつく。

「……春輝?」

どうした?と問いかける声が優しくて、安心する。

「…なんでもない」

本当に私、どうしたんだろう。

今までこんなふうになることなんてなかったのに。

──1人になるのが不安になるなんて。

「……春輝、一緒に食うか」

「…!」

頭を撫でられて、それから雷は笑った。

コクコクと何度も頷いた。

「よし、イチゴとチョコどっちがいい?」

「……茶色いほう」

「それチョコな。2つ持ってきてよかった」

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