翼~開け放たれたドア~
「あれでしょ。左上がホッチキス?ってやつで留めてあって、10枚くらいの束になってたの」

「あ、それだ。なーんだ、家か!」

「あー、よかったー!!」と叫ぶ雷。

ホッとした表情を浮かべている。

「ありがとなー、春輝」

「ん」

ようやく食べ終わった私は、紙皿をゴミ箱に捨てつつ頷いた。

雷は手に何か持って近づいてくる。

「じゃあご褒美。口開けて」

言われるままにパカッと口を開けると、雷は私の口のなかに

「…アメ」

棒付きのアメを入れてきた。

「ミルク味、好きだろ?」

コクンと頷いた。

ケーキのあとでも基本的に甘いものは食べられる。ていうか食べる。

「ほら、そろそろ屋上行ったほうがいいんじゃねぇか?」

「?」

なんでだろうと、私は首を傾げた。

雷は私の頭を撫でてから、

「あいつらがお前を待ってると思うぞ?」

と、笑った。
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