翼~開け放たれたドア~
あぁ…空だ。

「今日は天気がいいですね」

龍也の呟きに、うん、と返事をした。

今日の夜はきっと、綺麗な星空が見える。

そう、思った。

「龍也…」

「…はい」

「私、なんで飛べないんだろ…」

翼があっても、きっと私は飛べない。

「私、何がしたいんだろ…」

自分がしたいことも分からないのに、

「私、生きていていいのかな…」

私の呟きは、風に溶けて消えた。

「……ええ。春輝さん」

何も聞かないで、ただ聞いてくれる龍也。

相槌をうつだけにして、探らないでくれる龍也は、やっぱり…

「優しいね。ありがと」

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