翼~開け放たれたドア~
「ほら、こっちおいで」

直はそのソファーの1つに座ると、私に手招きをした。

誘われるままに近づいていくと、直は自分の足の間をポンポンと叩いてみせた。

首を傾げてすぐになんとなく思い出して、そこにポスッと座る。

「今、エアコンつけたばっかだからね。寒いでしょ」

コクンと頷いた。

この部屋に入ったとき、身体震えたもん。

一気にこう、ゾワッと…。

いくらパーカー着てても寒いものは寒い。

「ギューがいい」

「はいはい」

後ろから手を回され、身体が密着する。

私は足をプラプラとさせていたけど、足がスースーしてきたから止めた。

…ズボンとはいえ冷たさは伝わるね。





しばらくどっちも何も話さなかった。

静寂をきったのは

「昔話をしようか」

直だったんだ。

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