翼~開け放たれたドア~
ズキン、と。

胸が痛んだ。

「俺のすることに何の興味も示さなかったのにね…」

はは、と、自虐的に笑う直。

だけど、しばらくの沈黙のあと

「…やっと見つけたのに……!」

押し出すようにこぼれ落ちた言葉に、思わず直に抱きついた。

ポタリと、直の涙がフードに落ちる感触がした気がした。

「春輝…俺…手放したくないよ…」

「ん」

「やっと、笑える場所見つけたんだ…」

「…ん」

「……ここに、いたい…っ!」

「…そっか」

直が初めて本音を話してくれた。

だから、私は

「…待ってて」

「え?」

「……待ってて」
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