翼~開け放たれたドア~
同じ言葉を繰り返した。

ただ、待っててほしいと。

それだけ言った。

「春輝…?」

「直、王覇好き?手放したくない?ここにいたい?」

直を見上げ、問いかけた。

「…もちろん」

直は迷いなくきっぱりと言いきった。

「うん、それでいい」

何もかも押し込む必要なんてないよ。

直はいつも笑ってるから、心配なんだよ。

直、私と初めて会ったとき、自己紹介してくれたよね。私の名前聞いてくれたよね。

笑ってくれたよね。

それがどんなに嬉しかったかわかる?

だから、今度は私の番。

「直、大丈夫」

私は立ち上がって直の頭を撫でた。

「えっ…」

「…行ってくる」

「──春輝!!」
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