翼~開け放たれたドア~
バンっとドアを開け、走り出す。

制服からケータイを取り出し、操作して耳に当てる。

数回の呼び出し音のあとに、〈もしもし?〉と聞き慣れた声が聞こえた。

「…仕事の依頼に品川コーポレーションってあったよね」

〈春輝?あー、確かにあったな〉

「ちょっとそれに条件だしてほしいんだけど」

〈あ?珍しいな。条件って?〉

「…直のことなんだけど」

〈品川直か〉

「そ」

玄関について靴を履き替える。

そのまままた走り出し、校門を抜ける。

「今から行くから、連絡しといて」

〈は?今から!?〉

「時間ない。直接話す。だからついてきて」

〈お前なぁ…、今日仕事終わらしといて良かったわ〉

「先帰ってるから」

〈あー、はいはい。すぐ行くから待ってろ〉

「ん。ありがと、雷」

私が電話をかけたのは雷だった。

「あ、あと龍也も」

〈…あいつ仕事あんぞ〉

「……あとで手伝うから」

〈わかったよ。お前からの頼みなんてほとんどないからな。10分で行く〉
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