翼~開け放たれたドア~
「胸が苦しくなんねぇか?心が締めつけられねぇか?
寂しいって、思わないのか?」

違う。

違う違う違う。

寂しいなんて思わない。

だけど、空夜の次の一言は、私の思考を狂わせるには十分だった。

「お前、寝てたときに“お母さん”って言ってただろ?」

──純白の天使が、儚く悲しげに微笑んだ気がした。





──ズキン

「……っ!」

映像が流れ込んでくる。

音の洪水に掻き回され、頭が痛んで、壊れていく。

「おかぁ、さ…」

あぁ、どうして

「春輝…!?」

私は産まれてきたの。

全部全部、思い出してしまった。

あの、純白の天使は……

「春輝!!どこ行くんだ!?」

私の、お母さんだ。

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