翼~開け放たれたドア~
「春輝はな、偽名を使わざるをえなかったというか、あいつは篠原でもあり、赤城でもある、と言ったほうが正しいな。
篠原は、春輝の母親の姓だ」
母親…。
“…お、かぁさ………”
寝言で親を呼んだ春輝のことを思い出す。
こぼれた涙。なのに穏やかだった表情。
俺の胸がズキンと痛んだ。
「それに、だ。
春輝は記憶の一部がなかった」
は?記憶が…なかった?
「たぶんだが、お前との出来事で思い出したんだろうな」
雷さんはジッと俺を見た。
俺が…、春輝を……。
「春輝が忘れていた記憶ってのは親のことだ。
あいつにとって母親は誰よりも大切な人なんだと思う。
なんで忘れちまったのかはわかんねぇけど。
んで、父親のことは憎いんじゃねぇかな。
なんせ、春輝と春輝の母親を裏切ったんだからな」
裏切った?
俺らの顔つきがけわしくなる。
篠原は、春輝の母親の姓だ」
母親…。
“…お、かぁさ………”
寝言で親を呼んだ春輝のことを思い出す。
こぼれた涙。なのに穏やかだった表情。
俺の胸がズキンと痛んだ。
「それに、だ。
春輝は記憶の一部がなかった」
は?記憶が…なかった?
「たぶんだが、お前との出来事で思い出したんだろうな」
雷さんはジッと俺を見た。
俺が…、春輝を……。
「春輝が忘れていた記憶ってのは親のことだ。
あいつにとって母親は誰よりも大切な人なんだと思う。
なんで忘れちまったのかはわかんねぇけど。
んで、父親のことは憎いんじゃねぇかな。
なんせ、春輝と春輝の母親を裏切ったんだからな」
裏切った?
俺らの顔つきがけわしくなる。