翼~開け放たれたドア~
そこまで言って直はまた、指をキーボードの上を滑るように走らせてキーを叩き、最後にエンターキーをタンッと叩く。

すると、調べていた直自身が目を少し見開き凝視していたかと思うと、パソコンをクルッと回転させ、俺らに画面を向けた。

そこに映っていたのは──

「春輝と、同じ髪…?」

飛鳥が呟いた言葉どおり、画面には春輝と同じ真っ白な髪を持った女の人が微笑んでいた。

金色の瞳が優しげに細められている。

そういえば、どことなく春輝に似てるな…。

「篠原 百合ユリ。篠原シゲルの娘だよ。
そして…」

パソコンをまた回転させてから少しまたいじると、俺らに画面を見せる。

そこにいたのは、紺色の瞳を光らせた茶髪の男の人だった。

ニッと笑っていて、口から白い歯が覗いている。

直は悲しそうに眉を下げていて、今度は何も言わなかった。
< 270 / 535 >

この作品をシェア

pagetop