翼~開け放たれたドア~
そうか…。

悔しいんだ、俺。

何にもできない俺が。

こいつに何にもしてやれない俺が…。

「なぁ、信」

幹部室のドアを開けてくれた信に問いかける。

「俺…、こいつに何をしてやれんだろうな?」

「…知らねえ」

うわ。な即答かよ…。

「…でも」

続きあんのかよ!?

「……側にいてやればいいんじゃないか?」

──は…?

信は、目を見開く俺の腕で眠るwingを見つめる。

「…熱のときは精神的に不安定になりやすい。
それに、こいつはwingだ。
俺たちみたいに良く思ってる奴なんてほとんどいないだろう。
たぶん、こいつは寂しがってる。
だから…、その分近くにいてやればいい」

「…の、ぶ……、お前…」

俺は信を凝視した。

こいつは信用した人に関しちゃあ鋭い。

だけど、それよりも──
< 331 / 535 >

この作品をシェア

pagetop