翼~開け放たれたドア~
「……でもさ、僕、この子なら大丈夫だって…。
そう思っちゃうんだよね」

どこか遠い目をして独り言のように呟く優太。

「なんでだろうねぇ…?
人は結構、心が汚いはずなんだけど。
この子は、汚れを知らないみたいな…そんな感じなの。
真っ黒なんだけどね…。瞳は」

それは、前々からみんな気づいていたこと。

あいつの瞳が暗いのは、初めてあいつをみたときから感じていたことだった。

「wingは僕のヒーローだよ。
だから、そう思えるだけなのかもだけど」

ペロッと舌をだし、おどけてみせる優太に笑い返す。

優太は優しい眼差しをwingに向けた。

「…側に、いてあげたいな」

呟かれたその言葉は、俺がさっき信に言われたのと同じ内容だった。



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