翼~開け放たれたドア~
背中に冷や汗が流れるのがわかった。

こいつがキレたらホントにやばい。

このあいだ、喧嘩で信が相手に鉄パイプで殴られたときなんて、手ぇつけらんなかったぐらいだ。

残ってた奴らを全部殺りやがった。

気絶して動かないのに、何度も何度も殴って。

笑うことさえせずに、相手に冷たい視線を向けてた。

ああぁぁあ…、思い出しただけでも恐ろしい。

「お、俺じゃねぇぞ!?
いきなり泣き出したんだから…」

「泣かせるようなことしたんじゃないの?
結翔が」

ですよねー。そうきますよねー。

…なんてやってる場合じゃない。

このまんまじゃ俺の命が危ねぇ。マジで。

頭ん中で、上に輪っかくっつけて羽はやした俺が、優太に見守られながら天に昇っていく光景が浮かんできた。

…いや、シャレんなんねーよ。これ。

焦った俺…被告人の弁解は、5分以上続いた。

それに優太が納得したときには、俺の寿命がだいぶ縮まっちまってたと思う。
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