翼~開け放たれたドア~
「あ、飛鳥さん!元気だしてください!」

「俺らは味方っすから!」

下っ端に慰められる幹部ってどうかと思うがな。

そんなことよりも…。

俺の予想は正しかったらしい。

いつもよりいくらか高い体温に、いつもならしないようなぼんやりとした表情。

目もトロンとしていて、思わず理性がぐらりと傾いたけどすぐに持ち直す。

そんな俺を見つめていた春輝。

その口から漏れ出てきた言葉に、俺は心底驚いた。

「く、ぅやぁ……、行か、ないで……」

春輝の声は泣いていた。

…いや、もうこいつは泣いていた。

ゆるゆると大きな瞳から、透明な雫が目尻に玉を作って、その頬を滑り落ちていく。

次々と溢れ出すそれに気づいていないかのように、春輝はただ俺を見つめている。
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