翼~開け放たれたドア~
「おいおい…、勘弁してくれよ…」

俺の服の裾をギュッと握りしめ、安心しきったようにすやすやと眠る春輝。

「あははっ!やっぱ君なんだねー」

顔をあげると、小さい奴がニコッと笑う。

「あのねー?
wing、ずっと“クウヤ”って呼んでたのー」

俺を?

「クウヤ、クウヤって……。
ずっと…泣きながらずっと…君を呼んでた」

思わず腕の力を強める。

小さなその存在を確かめて、俺はホッとした。

苦しくて、愛しくて。

ほんとに、俺はこいつに溺れている。

どこか悲しそうに微笑んだ男は、だけどどこか嬉しそうで──

「wingは僕らの恩人だからねー。
それに、僕にとってはヒーローなのっ。
だから、泣かせたら許さないんだからー!」

「ねー、結翔、信!」と、残りの2人を振り返って、いきなり話をふる。

「え、お、おおお俺!?」

緑頭はそれに戸惑って何言ってんのかわかんねえし

「…あぁ」

藍色はそれだけ言って黙り込むし。
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