翼~開け放たれたドア~
「でもさ、王覇って…」

「あぁ。自分たちが認めたところとしか同盟は組まねえ」

「…それって……」

キラキラと目を輝かせながら俺に期待の眼差しを向ける小さい奴に、静かに頷いてみせる。

「…結翔ーっ!!
王覇が僕たちのこと認めたよーっ!」

突然、はじけたようにそいつが叫ぶ。

緑頭のところに一直線に走っていって、そのまんま抱きつく。

そいつの横顔が見えた。

すんげぇ嬉しそうに笑っていて、見てるこっちにまで笑みが移る。

で、抱きつかれた男は放心状態なのか、信じられないといった様子で俺をガン見している。

俺は、少しだけ春輝を持ち上げてみせて、言葉を続けた。

「俺たちのほうが、いっちゃあなんだが強い。
こいつを連れてくるためとはいえ、こんなとこに来るのは並みの勇気じゃあまず無理だ。
それでも、こいつを連れてきてくれた。
その勇気を見込んで、王覇は緑華に同盟を申し込みたい」

赤城組に連れてかれたのに、どうしてこいつらのところにいるのか、とか。

こいつらがどうして下っ端を連れずに、幹部だけで倉庫にきたのか、とか。

疑問はあるのは確かだ。

それでもこいつらは春輝のために、自分たちの危険をかえりみずに連れてきてくれた。

それだけでも、俺はこいつらがすげぇと思うんだ。
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