翼~開け放たれたドア~
ていうか、俺に向けられていた言葉がただの言い争いになってんだけど。

…ま、どうでもいいか。

「…で、どうだ?」

俺はまた振り返って、今度は緑華の奴らを見つめる。

「うんっ!僕はいいよー!信もいいよねー?」

緑頭に抱きついたまんま、男の脇から藍色に問いかける。

藍色は、無言でコクリと頷いた。

小さい奴はピョンピョンと跳ねているから、多分笑っているんだろう。

俺には背を向けてるからわかんねぇけど。

「ねっ、結翔も…、あれ?結翔?」

…ん?

小さい奴にグラグラと揺らされても、俺だけを見ている緑頭。

と、次の瞬間

「……っ」

男は片手で顔を隠し、俯いた。

「ゆ、いと…」

それをみた小さい奴は背伸びをして、そっとその頭を撫でた。

静まり返った倉庫に小さな嗚咽が漏れて、少しだけ目を丸くする。

…泣いてんのか。
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