翼~開け放たれたドア~
小さい奴は俺らのほうを向くと、困ったように微笑んでみせた。

「ごめんねー?
結翔、こう見えて感動屋で泣き虫だからさー」

「…wingに助け求めたときも泣いてたな」

「だからねーっ!
男のクセにめそめそめそめそ…」

藍色に同意して楽しそうに笑った小さい奴は、からかうように緑頭の前で泣き真似をしてみせる。

「うっ、せぇよ…バカ優太…っ!」

そんな奴の頭をベシッと叩いた緑頭の顔がチラリと見えた。

ボロボロと涙をこぼしながら、なのに嬉しそうな顔だった。

男はそのまんましゃがみこんだ。

「…ずっとあんなだった、から……」

震える声で言葉を紡ぐ。

誰もがそいつを見つめていた。

「wingに会った、あの日から…。
変われた…のに違いは、ね…ぇけど…。
でも、過去は消せねえ…」

「…結翔」

小さい奴と藍色が男に近づいて、悲しそうに名前を呼ぶ。

俺は一瞬だけそれから視線を外し、春輝を見つめた。

穏やかな寝顔に安心する自分がいた。

「後悔、しても…遅く、て…。
だから…、認めてくれ、るなんて…思ってなかった……」
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