翼~開け放たれたドア~
髪や瞳のことを言われると気を失うのは、2人のことを思い出してしまうから、身体が無意識に拒絶していたんだと思う。

それに…。

あの部屋では常に言われていたから。

“生まれてこなきゃよかったのに”

跡取りに役立たずはいらないから、問題を間違うたびに、少しでもミスをするたびに、いろいろな罵声とともに暴力をふるわれた。

“駆け落ちの子供が……!”

私の髪や瞳の色は2人譲りだから、それは駆け落ちの象徴のようなものだった。

痛くて、辛くて。

いつしか、全部を完璧にこなせるようになるまでそれは続いた。

それは、wingとしての活動を始めてから2年…。

ちょうど、私が10歳くらいの頃のことだった。





ここまで話をして、私は見つめた。

驚いた顔をして私を凝視している

「……ちょうどその頃だよね?
…私の監視を頼まれて、仕事のときにそうしていたのは」

私を養ってくれている恩人、雷のことを。

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