翼~開け放たれたドア~
「……クククッ…」

「ぶはっ!」

「……クスクス…」

「あははははっ!」

「ぎゃははははっ!!」

空夜、飛鳥、直、秋人、蓮が遅れて笑いだす。

なんか、蓮の笑い方下品だね。

飛鳥は吹きだしてるし。

「…ふ」

龍也はなんか口角をあげて、哀れそうに雷を見た。

「お前さ、ククッ…いくら離れてるからってそれはないだろ…クッ」

笑いを抑えているようで、必死に口を手で覆っているけど…。

普通にもれてるよ?龍也。

しまいには、隠すことを止めたらしい龍也が大きく笑いだす。

雷は顔を真っ赤にして、プルプルと身体を小刻みに震わせている。

しかも、若干涙目で。

…どうしよう、これ。

私のせいだよね…。

うーん……。

……ま、いいか。いつものことだし。

1人で心の中で自己完結させて、これまた心の中でうんうんと頷いていた私。

雷の、少しだけ恨めしい視線には気づかないふりをしておいた。
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