翼~開け放たれたドア~
「……め、なさ……ごめ、…なさい…」

繰り返される言葉は、あのときと同じ。

何に対しての謝罪なのか、何の夢を見ているのか、俺たちには分からない。



俺が、春輝が魘されるのを初めて見たのは…。

そう、あれは、春輝と住み始めて1ヶ月たった頃だ。

突然、スーツ着た男が訪ねてきて、春輝のことを聞いてきたんだ。

引きこもっていた春輝が、部屋から珍しくでてきたが、春輝は、そいつを警戒していた。

男は不気味な笑みを浮かべていて、なんかすげぇ怖く感じた。

春輝にしか聞こえねぇように耳元でコソコソと何かを言っていた。

それを聞いた後、春輝はすんげぇ怯えて。

すぐに追い返したけど、春輝の震えは尋常じゃなくて…

その夜に、こんな感じで、魘されていた──…



その時以外にも、たびたびこんなふうに魘されることがあったが、あのときほどじゃない。
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