翼~開け放たれたドア~
春輝の決意
「君も哀れですねぇ…。
生まれが生まれだからしょうがないですけど。
まぁ、見ていて滑稽で飽きないから、私にとっては好都合ですが」
ニヤリと笑う彼の声に、拳を握りしめる。
ギリッと噛んだ唇からこ少しだけ鉄の味が広がるのに、私は気づかないふりをした。
「無駄なのに、私たちを攻めてくるなんて君の仲間たちは本当に考えのない──…」
──耐えろ。耐えろ。
こんな奴でも、さすがに今は殺れないから動いちゃダメだ。
今動いてしまえば、空夜たちが危ない。
そう、自分に言い聞かせる。
赤城 啓悟…。
お父さんの許嫁と、私のお父さんとの間に生まれた、赤城組の次期組長…だと表では言われている人。
つまり…、私の腹違いの兄だ。
知ってる。
この人が私を嫌っていることも、…そして憎んでいることも。
じゃあなんで私は、自分を憎むこいつの所にいるのかと言うと、それは一昨日のこと。
生まれが生まれだからしょうがないですけど。
まぁ、見ていて滑稽で飽きないから、私にとっては好都合ですが」
ニヤリと笑う彼の声に、拳を握りしめる。
ギリッと噛んだ唇からこ少しだけ鉄の味が広がるのに、私は気づかないふりをした。
「無駄なのに、私たちを攻めてくるなんて君の仲間たちは本当に考えのない──…」
──耐えろ。耐えろ。
こんな奴でも、さすがに今は殺れないから動いちゃダメだ。
今動いてしまえば、空夜たちが危ない。
そう、自分に言い聞かせる。
赤城 啓悟…。
お父さんの許嫁と、私のお父さんとの間に生まれた、赤城組の次期組長…だと表では言われている人。
つまり…、私の腹違いの兄だ。
知ってる。
この人が私を嫌っていることも、…そして憎んでいることも。
じゃあなんで私は、自分を憎むこいつの所にいるのかと言うと、それは一昨日のこと。