翼~開け放たれたドア~
──ビリッ!

──バゴッ!!

襖の紙が破れる音と、そして襖が蹴倒される音が部屋に響いた。

あぁ…来ちゃったか……。

「赤城…」

「おやおや、雷さん。
この間は失礼しましたね」

特に悪びれるでもないような赤城啓悟の声を聞きながら、私は心のなかで、空夜たちのことを思い浮かべていた。




大好きな、皆。

この手にかけるなんて……!

「この赤城組次期組長、赤城啓悟が相手をしましょう」

…ううん、結果は私には決められない。

誰かに…赤城啓悟に傷つけられるくらいならと、あの時確かにそう思ったんだ。

私は、静かに、静かに。

──心のなかで、皆に“大好き”と呟く。

皆、私に笑いかけてくれる。

それだけで、“私”はもう大丈夫だよ。
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