翼~開け放たれたドア~
「雷、神崎組次期組長。
龍也、王覇初代副総長
飛鳥、直、秋人、蓮、空夜、王覇幹部」

「「「春輝…!?」」」

「春輝さん…!?」

「……命令は、絶対だ」

囁いて、私はそっと手をおろす。

少しだけ目をつぶり、そしてゆっくりと開け。

俯かせていた顔をあげて、雷の顔を無表情で見て、言い放った。

「…なぁ、絶望を教えてやろうか?」

皆を見渡して、そして

「俺の手で、お前らのこと汚してやるよ」

私は自ら、皆との繋がりを断ち切るんだ。

これはwingとしての……言葉。





そして、この言葉は合図。

wingになりきるために…、“私”を拒絶し、捨てるための合図。

そう、もう甘さなんてない。

同情も、情けもかけないよ。





wingになってしまえばそれは一瞬。

足が、手が、身体が先に動く。心よりも。

気づけばもう雷の身体は、真後ろにいた龍也を巻き添えにし、吹っ飛んでいた。
< 395 / 535 >

この作品をシェア

pagetop