翼~開け放たれたドア~
「がはっ…!」

「ぐ…っ!」

それぞれ苦しげに声をもらすが、私はそれを冷めた目でみていた。

「はる、きさん…!もう…、自分を傷つけないでください…!
…っ!!おいこら!雷、どけろよ!!」

「しゃーねーだろ!
春輝の一発重いんだぞ!!」

「「「…………」」」

…うん、雷と龍也だ。

──そう、それでいい。

皆は変わらずにいてほしい。




さらりと揺れる白い髪は、何よりの証。

冷たく捉える紺の瞳は、何よりの証拠。

変えられない運命。なのに変わってしまう日常のなかで。

私は、唯一“私”を必要としてくれてた両親をなくしてしまった。

だったら、wingとしてでもいい。必要とされたい。

そう、思ってたんだけどな。

どうして、こんなにも胸が痛いんだろう?

目を瞑れば思い出すのは、

“───…篠原組の跡取りとして生きろ”

あの人の残酷な言葉。

今もそれは鎖となって、

“駆け落ちの子ってだけで、お前は生まれてくるべきじゃなかったんだからな。
罪は償え。身体をはってな”

十字架となって重くのしかかる。
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