翼~開け放たれたドア~
「それをな、“寂しい”って言うんだよ。
誰かに側にいてほしい…、そう、思うだろ?」

私は、今度は静かに頷いた。

もう、否定できないくらいに、自分の気持ちが分かってしまっていた。

「必要と、されたいだろ?」

私は、また頷く。

「……お前は、お袋に出会う前の俺と一緒なんだよ。
強がる必要なんてねぇ。
全部吐き出せ」

な?と、私を見つめる空夜の顔が、滲んでは鮮明になる。

私、こんなに泣き虫だったっけ?

初めて人前でこんなに泣いた気がするのに、なんだか空夜には泣かされてばかりな感じがするんだ。

「……──が、ほし、い…」

「ん?もっと…でけぇ声で言え。
皆に聞こえるように、だ。
聞かせてやれよ、お前のこと」

空夜の、バカ。

そんなこと言われたら、余計に涙が溢れてくるじゃん。

「…生きる、理由がほしい……っ!!」

それに、涙と一緒に言葉も溢れ出る。
< 401 / 535 >

この作品をシェア

pagetop