翼~開け放たれたドア~
「ホントの、つ、よさ…っての、は…っ!
誰よ、りも優しい…ってこと、なんだ…よ!
苦しんで、る…人、に…っ、手を差しの、べてや……れる…こと、な、んだよ……っ!!」

“君の名前は?”

あのとき、出会った皆。

“違うだろ!?お前はお前だ!
違いなんてねぇだろうが!!”

嫌だったはずなのに、

“おっかえりー!!!”

誰よりも優しく

“ま、お前普通の人とか女と違うからな。
…あ、悪い意味じゃないからな?
だから認めてんだ”

手を差し伸べてくれるから。

“……お前、なんでそんなに怯えている”

──今思えば、私はもうあのときから、目の前の世界が広がっていったのかもしれない。

空夜が、気づいてくれたあのとき。

私のなかに、確かな光が入り込んできたんだ。
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