翼~開け放たれたドア~
「それ、が…わからねぇ、お、まえは……っ!
さび、し、くて、誰よりも…弱い……っ!!」

私はそう吐き捨てると、胸ぐらを掴んでいたその手を押し離す。

ドサッと倒れ込んだそいつは激しく咳き込んだあと、力が抜けたようにぐったりとして動かなくなった。






「はぁ……はぁ……」

荒い息のなか、ポツリと呟く。

「お、わった…?」

口にだしてほっとしたとたん、プツリと糸が切れたように身体の力が抜ける。

ガクンと膝から崩れ落ちそうになった私の身体を、後ろから大きな腕が支えた。

「おい、どうした?……おい、春輝?」

この低い声…

「く、うや…」

「なんでお前そんなに……」

そう、言いかけたけど

「……っ!!?」

すぐに空夜の顔色は変わった。

「お前…っ」

「はは、ば、れちゃった…か……」

背中からドロドロと流れる血。

さすがに話すのは途切れ途切れになってたけど、結構平気そうに見せてたから。

それに、撃たれた背中は私の長い髪で隠れてたから気がつかなかったんだろう。

……ううん。私が気づかせないようにした。
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