翼~開け放たれたドア~
「「……っ!?」」

無意識にでた殺気に、2人がたじろぐ気配が伝わった。

だけど、それは雷さんたちに対してじゃねぇ。

──他でもねぇ、“自分自身”。

今、こいつが暴走してたときに発してた殺気が誰に向けられたものだったのか、俺自身がなってようやく気づいた。

きっとこいつも、自分自身に殺気を放ってたんだ。

自分が、赦せなかったから…。

ただでさえ冷たい春輝の体温。

それが余計に冷たく感じて、俺の思考は混乱する。

春輝が救急車に乗せて運ばれるまで、警察が雪崩れ込んできても、直たちが血相を変えて駆け寄ってきても、俺は春輝を抱きしめて離さなかった。
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