翼~開け放たれたドア~
眩しいくらいに、強かった。

こんな風になりてぇって憧れるくらいに……強かった。

なんでこんなに頼もしいんだろう。

こんなにもでっかく見えんだろう。

俺にはない何かがあるのか、それとも…──。

この人の強さって…何なんだ?

気になったけど、それだけは聞けなかった。

海さんも、なんだか“強さ”を探し求めてるようにも見えて──

だって、この人は時々すげぇ悲しそうな顔をする。

それも、春輝を見ているときに……。

一瞬迷ったが、そのことを海さんに問いかけた。

海さんはなんとなく困ったような顔をしたあと、イスに座る俺の横へと移動すると、春輝の頬をそっと指で撫でた。

その仕草がすげえ優しくて、海さんが、春輝をどれだけ大事に思っているかが伝わってくる。

そして海さんは、春輝に触れていたその手を、自分の身体の横へと戻すほんの少し手前で握りしめる。

「もう無くしたくねぇから、な……」

そう、自分に言い聞かせるように言うと、海さんは自嘲気味に、もしかしたら、動けねぇで弱いまんまなのは俺かもしんねぇな、と呟いた。
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