翼~開け放たれたドア~
そんな、春輝が入院しているのが日常になってしまっていた俺にとって、けっこう非日常的になった昨日の出来事を思い出しながら、俺は今日も春輝の病室に向かおうとした。
今日は、ほんとに久しぶりに学校へと行ったから、もう時刻は夕方だった。
といっても、季節はまだまだ冬。
もうあと少しで夕日の残照も消え失せ、街は真っ暗闇に包まれる。
コツコツと響く俺だけの足音に、いつも隣にいてくれた春輝が恋しくなってしまう。
春輝が寝ている間に、クリスマスも、正月もすぎた。のに、王覇の倉庫は相変わらず暗いまんま。
今日も病院に行ってくると言い残し、俺はここにこうしてきたんだが…。
………なんだ?
ちょうど、春輝の病室がある廊下へと続く角を曲がる少し前に、ピタリと足を止める。
ガラガラという…車輪の音か?
それに混じって、バタバタという複数の人の足音も聞こえてきて、俺はなんとなく嫌な予感がした。
まだ決まったわけじゃねぇ。あいつじゃない可能性だって、それこそ、俺の考え自体が間違ってる可能性だってあんだ。
だけど……。
大きくなるその二つの音に比例して、俺の心臓の音も大きくなる。
したくもない想像をして、俺は自分で自分を苦しめる。
見るな。聞くな。後悔するぞ。
確信があるわけじゃねぇのに、俺の頭のなかには警告が響く。
でも、やべぇな………。
身体が…動かねえよ…。
だって…
「篠原さん!!」
こんな台詞聞いたら…、誰だって頭真っ白になるだろ……?
今日は、ほんとに久しぶりに学校へと行ったから、もう時刻は夕方だった。
といっても、季節はまだまだ冬。
もうあと少しで夕日の残照も消え失せ、街は真っ暗闇に包まれる。
コツコツと響く俺だけの足音に、いつも隣にいてくれた春輝が恋しくなってしまう。
春輝が寝ている間に、クリスマスも、正月もすぎた。のに、王覇の倉庫は相変わらず暗いまんま。
今日も病院に行ってくると言い残し、俺はここにこうしてきたんだが…。
………なんだ?
ちょうど、春輝の病室がある廊下へと続く角を曲がる少し前に、ピタリと足を止める。
ガラガラという…車輪の音か?
それに混じって、バタバタという複数の人の足音も聞こえてきて、俺はなんとなく嫌な予感がした。
まだ決まったわけじゃねぇ。あいつじゃない可能性だって、それこそ、俺の考え自体が間違ってる可能性だってあんだ。
だけど……。
大きくなるその二つの音に比例して、俺の心臓の音も大きくなる。
したくもない想像をして、俺は自分で自分を苦しめる。
見るな。聞くな。後悔するぞ。
確信があるわけじゃねぇのに、俺の頭のなかには警告が響く。
でも、やべぇな………。
身体が…動かねえよ…。
だって…
「篠原さん!!」
こんな台詞聞いたら…、誰だって頭真っ白になるだろ……?