翼~開け放たれたドア~
ICUと表示された、半透明の自動ドアの向こう側。
ドラマかなんかで見るその光景が目の前にあるのが不思議に思えてくるが、音さえも遮断する、そのドア半透明と同じ感じの壁からは、確かに大事な奴が何の反応もなくベッドで眠っていて……。
心臓の音を知らせる機械や、よくわかんねぇけど色々な線を繋がれた春輝の姿が痛々しい。
忙しなく動き回る医者や看護師たちが、視界のなかでやけにゆっくりして見えるけど、まるで春輝だけに色がついているようにその姿から目が離せない。
現実味がまるでなかった……。
「空夜!」
それは、直の声が聞こえても変わらない。
「はる、き…っ!!」
ICUのなかを見て、直たちが息をのんだ。
「なぁ…、春輝大丈夫だよな?
目ぇ覚ますよな?」
震える声にはっとして横を見れば、目に涙をいっぱい溜めた秋人が俺を見ていて。
でも…俺にはどっちとも言えなかった。
「俺だって…知りてえよ…っ」
でたのは、そんな絞り出したような小さな声。
そう。そんなの…こっちが聞きてえよ。
やがて、看護師がカーテンをしめ、中の様子が完全に見えなくなって……
「……っ!!!」
こらえきれなくなった秋人の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
ドラマかなんかで見るその光景が目の前にあるのが不思議に思えてくるが、音さえも遮断する、そのドア半透明と同じ感じの壁からは、確かに大事な奴が何の反応もなくベッドで眠っていて……。
心臓の音を知らせる機械や、よくわかんねぇけど色々な線を繋がれた春輝の姿が痛々しい。
忙しなく動き回る医者や看護師たちが、視界のなかでやけにゆっくりして見えるけど、まるで春輝だけに色がついているようにその姿から目が離せない。
現実味がまるでなかった……。
「空夜!」
それは、直の声が聞こえても変わらない。
「はる、き…っ!!」
ICUのなかを見て、直たちが息をのんだ。
「なぁ…、春輝大丈夫だよな?
目ぇ覚ますよな?」
震える声にはっとして横を見れば、目に涙をいっぱい溜めた秋人が俺を見ていて。
でも…俺にはどっちとも言えなかった。
「俺だって…知りてえよ…っ」
でたのは、そんな絞り出したような小さな声。
そう。そんなの…こっちが聞きてえよ。
やがて、看護師がカーテンをしめ、中の様子が完全に見えなくなって……
「……っ!!!」
こらえきれなくなった秋人の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。