翼~開け放たれたドア~
直が言った“海さん”という言葉に、俺は何も言えなくなった。
なんとかしていた相槌さえできずに、俺は拳を強く握りしめる。
“もしかしたら、動けねぇで弱いまんまなのは俺かもしんねぇな”
──海さん……。
海さんはやっぱ強ぇよ。
俺は……こんなにも怖くてたまんねぇのに…。
海さんは、春輝が帰ってくるの信じて疑わない……。
「……っ」
ビリッとした痛みが掌を襲って我に返る。
ふと手を広げてみると、爪が食い込んだせいで赤く充血していたけど、こんなもん、春輝の苦しみに比べれば……。
“お前はどうしてそこまで春輝を守りたいと思 う? ”
不意に蘇る海さんの言葉。
“お前の強さは……どこにある?”
春輝を想うだけじゃだめなんだろうか。
あいつを想う気持ちだけじゃ……俺は強くなれないんだろうか。
俺は……何に気づくべきなんだ?
なんとかしていた相槌さえできずに、俺は拳を強く握りしめる。
“もしかしたら、動けねぇで弱いまんまなのは俺かもしんねぇな”
──海さん……。
海さんはやっぱ強ぇよ。
俺は……こんなにも怖くてたまんねぇのに…。
海さんは、春輝が帰ってくるの信じて疑わない……。
「……っ」
ビリッとした痛みが掌を襲って我に返る。
ふと手を広げてみると、爪が食い込んだせいで赤く充血していたけど、こんなもん、春輝の苦しみに比べれば……。
“お前はどうしてそこまで春輝を守りたいと思 う? ”
不意に蘇る海さんの言葉。
“お前の強さは……どこにある?”
春輝を想うだけじゃだめなんだろうか。
あいつを想う気持ちだけじゃ……俺は強くなれないんだろうか。
俺は……何に気づくべきなんだ?