翼~開け放たれたドア~
「………俺は…っ!!」

キラリと光った涙が落ちていき、地面にはっている水の音をたてさせた。

「……ずっと、誰かの役にたちたかった…っ。
必要とされたかったんだ……っ!」

「…飛鳥」

「なんでだよ…っ、そんなに俺は役立たずか…?」

「飛鳥、聞け」

「そんな俺なんか…俺は…っ!!」

「──飛鳥!」

ビクッと肩を跳ねさせ、飛鳥が動きを止めた。

「……いい加減にしろ。
俺はそんなこと一言も言ってねぇぞ」

「でも…っ」

「じゃあ聞くが、俺はお前を幹部から外したこととかあるか?」

そう問いかけると、飛鳥は俺の顔をぱっと見上げた。

驚いたように目を丸くして俺を凝視したあと、また俯いて小さく首を振った。

「役立たずだったらとっくに外してる。
そんなことにも気づけねぇのか?
お前らに迷惑とかかけたくなくて、俺が一人で突っ走ってただけだ」

ごめんな、と言うと、飛鳥はふるふると首をまた振った。

「これからはお前らのことも頼る。
俺が悪かったんだ」

飛鳥は、首を振り続ける。

「……ごめんな、飛鳥」

俺が、そう言った次の瞬間。

「………う、ああぁぁああ!!!」

何がが切れたように、飛鳥は声をあげて泣き始めた。



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