翼~開け放たれたドア~
「い゙ってー!!蓮!暴力反対!!」

「うっせぇバカ」

「バカ!?
そんなのバカって言ったほうがバカなんだからな!!
蓮のバーカバーカ!!……いてっ!」

蓮がまた飛鳥の頭を叩いた。

……その発言が火に油を注いでるって気づかねえんだろうか。

見てみればいいじゃねぇか。

飛鳥の発言で蓮のこめかみに青筋入ってんぞ。

しかも台詞が雷さんと同じだしな。バカ丸出しだ。

「………いい度胸じゃねぇか。飛鳥」

「ひっ…!」

「てめぇ殺るか?」

「や、殺らない殺らない!!ごめんなさい!!!」

飛鳥の胸ぐらを掴んで引き寄せた蓮が飛鳥をにらみつける。

「俺は喧嘩ならいつでも受け付けてるけどな……?」

「ご、ごめんなさいぃぃ!!!」

「ハァ……。はい、そこまで」

「「直………」」

今にも殴りかかりそうな蓮と、涙目で蓮から逃げようともがいていた飛鳥が動きを止めた。

「何やってるの?二人とも。
喧嘩のための場所じゃないことくらい分かってるでしょう?」

「だってこいつがっ!!」

「やーめーてー!!!」

飛鳥の服を掴んでいた手に力を込める蓮。

その光景を見ていた直は、またため息をこぼした。

そして、恐ろしいほどに爽やかな笑顔を浮かべると──

「………ふーん?」

蓮に向かって歩いていく。
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