翼~開け放たれたドア~
徐々に縮まるその距離に、蓮はたじろいで冷や汗を流した。

そして直はそのまんま

「あ…いや……」

「…まだ、続けます?」

「………チッ」

簡単に蓮から飛鳥を引き剥がした。

「直ー!!」

「あー、はいはい。
ほら、飛鳥。暑苦しいから離れようか?」

「笑顔でひどいこと言うよね!!?」

そして、自分自身からも飛鳥を引き剥がした。

「……空夜」

「あ?」

秋人が俺の近くへと来る。

「飛鳥、バカだよな。ホント」

「……だな」

ホント、大バカだよ。

「……気づけっつぅの」

秋人のもらしたその言葉に苦笑する。

たぶんあいつは気づかねぇだろうが…。

でもまぁいいんじゃねぇか?

「まてごらあぁー!!」

「ぎゃあぁぁぁ!!!」

「…………ハァ…」

………例えあんな風になってたとしても、な…。

蓮は飛鳥を追いかけ回してるし、飛鳥は死に物狂いで逃げ回ってるし、直はめんどくさそうにため息してるし……。

水が飛んでくるから止めてくんねぇかな。

……てかさ。さっき直が止めたんじゃないのかよ…。
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