翼~開け放たれたドア~
段々と近づいてきた足音に、雷はニヤッと笑った。

──バタン!

「雷…、てめぇ、なにやって…んだよ…
 普通、に、呼びやがれ…!!」

ハアハアと息を切らし、殺気を出しつつ雷を睨む男…もとい、境 龍也リュウヤ。

耳にかかるくらいの黒髪に、きれいな黒い瞳。

濃い紫の縁のメガネが、冷たい印象を見せるけど、根は優しい人。

身長は175㎝ほど。

走ってきたせいか髪が乱れていて、眼鏡もズレたらしく、はずしてかけなおしている。

…おつかれさまです。

「おぉー、残り5秒だったー!」

「ふ、ざけんな…つっーの…。
 20秒くらいしかかかってねぇ…からな」

息も絶え絶えな龍也に、

「20から16なかった」

私は味方してやった。

「ちょっ、春輝!余計なこと言うな!」

「…雷が悪い」

「やっぱりか…。てめぇ、歯ぁ食いしばれ!!」

「わー!まてっ、龍也!話せばわかる!!」

「てめぇがわりぃんだろうが!!!」

走り回る雷と追いかける龍也。

はぁ…相変わらず雷はバカだね。
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