翼~開け放たれたドア~
「春輝!」

「春輝さん!」

龍也さんと雷さんの呼びかけにも反応しない。

…いや、違う。

2人だということを分かっていないような…そんな感じだ。



春輝はフラリとベッドから抜け出すと、俺ら…ドアに向かって歩きだす。

それを龍也さんが止めに入ろうとした、が。

──ドゴッ!

「ぐっ…」

春輝の蹴りが、龍也さんの脇腹に入る。

俺は驚いた。

龍也さんに蹴りを入れたのもそうだが、蹴りの体制のときの型がしっかりしてるし、力があった。

まるで、喧嘩慣れしてるみてぇだ。
< 50 / 535 >

この作品をシェア

pagetop