翼~開け放たれたドア~

夜は必ず明ける

「……る、き…」

顔に横からあたる何かが眩しくて目を開けた。

ぼやける視界のなかで、だんだんと冴えてくる頭が、勝手に状況を把握する。

……俺、寝てたのか…。

ふと、眩しさに目を細め、座っているイスの横にある窓に視線を移した。そして気づく。

あぁ…、朝か──。

廊下に差し込んだ長い光が、病院の室内を照らしている。

その光に沿って辺りを見回せば、直は立ったまま壁に寄りかかるようにして、飛鳥は直と同じように壁に寄りかかってはいるが、座り込んでいびきをかいている。上向いたまんまで口開けっぱなし。直はあんなに綺麗に寝ているっていうのに…。

蓮は片膝をたてて座ったまんま俯いているが、飛鳥同様いびきが聞こえる。きっと口開けて間抜け顔してるんだろうな。

秋人は……イスに座っている俺の隣で静かに寝ていた。俯いているから見えねぇけど、たぶん幼い顔をしているんだろう。

こいつ、ホントは甘えん坊な年下みてぇな感じだしな。

雷さんと龍也さんは、仕事があるからと帰ってしまった。

二人とも、目を涙で揺らしながら、“春輝を頼んだ”と言い残して。

雷さんはまぁ……、龍也さんに引きずられてたけど…。
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