翼~開け放たれたドア~
「くーやー」

甘えるようなその声に、

「………大好き」

──ブチッ

頭のなかで、そんな音がした気がする。

俺の理性は完全に切れた。

「あー!クソッ」

「!?」

俺がいきなり出した大声に春輝が身体を跳ねさせた。

俺はグシャグシャと前髪をかきあげて、春輝をジッと見据えた。

「……これ以上好きにさせる気か、お前は」

「えっ……」

「お前が悪いからな」

俺は、掴んでいた春輝の腕を押してそのまんまのしかかった。

ギシ、となったスプリングの音に、春輝は目を丸くして俺をみている。

組み敷かれたと気づいたらしい春輝が起き上がろうとする前に、その驚く顔にグイと詰め寄る。

「……なぁ、春輝は俺が好きか?」

春輝の瞳に俺が映りこむ。

「空夜…っ?」

「答えろ。俺のことをどう思ってんだ?」

「ど、どうって…」

目をそらそうとする春輝の顔の両手に肘をついて、逃がさないようにする。

そして、逃げ場がなくなった春輝に再度問いかけた。
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