翼~開け放たれたドア~
「お前の“好き”はどういう意味だ?
俺はお前のこと、恋愛感情の意味で好きなんだけど」

するするとその滑らかな頬を優しく撫でる。

片目を瞑って、大人しくされるがままな春輝が愛しくて、俺はふっと笑った。

「……な、教えて?」

「うぅー…」

悔しそうに呻いたけど、お構いなしに「で、どうなんだ?」と聞いてみる。

春輝は口をパクパクとさせて、

「だ、から…えーと………」

しどろもどろに言葉を探す。

「……空夜…」

「なんだ?」

「ひ、ひいたりしない?」

「当たり前だろ」

「じゃあ言う……」

弱々しい声でそう言ったと想ったら、春輝は俺を強い眼差しで見つめたあとに、俺が思ってた以上の言葉をそっと呟いた。

「──私ね?
空夜のこと…愛してる、の……」

「……っ!!」

このタイミングで……それはヤバいだろ…。

ドクンと心臓が大きく高鳴って。

俺は、春輝の真っ赤な顔に欲情してしまった。

「……わりぃ」

「え…、んっ…!?」

自らの唇を、愛しい奴のそれに押しつける。

ほんとに、まずい。自分では止めらんねぇ…。
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