翼~開け放たれたドア~
……俺、なにしようとしてた?

状況を把握した頭で、とんでもないことをしでかしたことにようやく気づいた。

「わ、わるい…っ!」

慌てて春輝の上からどける。

顔が熱い。俺はホントにどうしちまったんだ?

こんなにも自我を無くすなんて……、俺はどれだけ春輝に溺れているんだろう?

俺はもう一度悪い、と春輝に謝ってから、ベッドからどけようと腰を浮かした。

だけど、クンッと服の裾が引っ張られる感覚に首を傾げる。

その感覚があった目の前を見ると、春輝がこちらを見つめていた。服の裾を握りしめて。

こいつ、自分で俺の地雷を踏んでることに気づいてないんだろうか。

行動が一々、俺の理性を揺さぶる。

「……い、かないで…」

「……は?」

「きゅ、急なことだったからビックリしただけで……」

言いよどんだ後、春輝は身体を起こすと、動けないでいる俺の頬にキスを落とした。

その温かくて柔らかな感触に、俺の鼓動は一気に飛び跳ねた。

「……お前、自分がなに言ってるか分かってんのか?」

止めらんなくなる。

ただでさえ、やっと取り戻した理性がまた危ねぇことになりかけてんのに。
< 527 / 535 >

この作品をシェア

pagetop