翼~開け放たれたドア~
徐々に色を変えていく景色のなかに大きな建物が見えた。

あれかな。倉庫。

近づいていってるし。

「もうすぐ着くよ」

バイクにしては音が静かだから少し大きな声なら聞こえる。

直の声は私にすんなりと届いた。

やっぱりあれだ。あの大きなやつ。

さすが全国No.1だね。大きいな。




「着いたよ。ここが俺たちの倉庫」

「……意外と綺麗」

私の仕事のことから『族=汚い』が普通だった私。

それが覆された瞬間だった。

「さすがに汚いところには集まりたくないでしょ」

「…確かに」

直の苦笑に同意する。本気で。

あれは臭いし汚いし、仕事とはいえものすごく嫌だった。うん。

よくあんなところにいようと思えるよね。


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