翼~開け放たれたドア~
「文句あるやつは言えばいい。
だが、それは後にしろ」

行くぞ、と私の腕を掴み、引っ張っていく。

「…珍しいな。これはすごい子を見つけちゃったな」

だから、直が呟いた言葉は、私には届かなかった。

最後に聞こえたのは、大きくなったざわめきだけ。

やっぱり、私は来るべきじゃなかった。

そう、思った。
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