翼~開け放たれたドア~
「…だいぶ、笑うようになりましたね」

そう、ポツリと漏れた龍也の声はすごく小さくて。

だから…

「#**@※●★◇◎×∇○ー!!」

雷の叫び声にかき消された。

ていうか、どんだけ痛かったんだろう…。

文字化けするほど、痛かったのかな。

「…雷」

うるさくて、とりあえず名前を呼ぶ。

少しだけ殺気を出して。

すると、ピタッと止まった雷の動き。

若干、目に涙が浮かんでいた。

私は、雷の目の前に行ってしゃがみ込んで、雷の頭を撫でてやった。

これをやると、雷は大抵機嫌直るから。

そして、案の定、

「……」

まだ涙目だったが、少しだけ嬉しそうな顔を、した雷。
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