翼~開け放たれたドア~
「…ごめんね。痛かったでしょ」

「いーよ!もう大丈夫だからな!」

そう言ってスクッと立ち上がった。

私も立ち上がり、近くのソファーに座った。

龍也は、なんでか笑いを必死に堪えていた。

まぁ大体、“雷が単純過ぎて”とかだと思うけどね。

「春輝は龍也のクラスの1年A組だ!
ちなみに、成績がいい奴らが集まってるとかじゃねぇけど、暴走族の“王覇オウハ”の奴らがいるから」

全国No.1の暴走族、王覇──

噂、ていうかこの二人から何回か聞いたことがある。

二人が中学生のとき、雷が総長、龍也が副総長になって作ったんだそうだ。

よく分からないけれど、二人が高校生になってから、全国No.1にまで上り詰めたらしい。

それからずっと全国No.1を誇っている不動の暴走族。

それが、“王覇”。

「幹部以上がいたりするから気をつけろよ?」

龍也がいるから大丈夫だと思うけど、と、付け加える雷。

…何に気をつけろと。

私は、雷たち以外を信用するつもりはないし、仲良くするつもりもない。

< 9 / 535 >

この作品をシェア

pagetop