翼~開け放たれたドア~
「守られるような人かどうかじゃねえ。
俺が守りてぇんだ。だから、大人しく守られとけ」

有無を言わさぬその口調に、「…うん」と答えるしかなかった。

だけど、一つ決めたことがある。

だったら──

「私も、守る。空夜たちを守りたい」

守られるだけじゃいやだ。

皆が傷つくなら私も闘う。

ジッと空夜の目を見つめれば、

「…フッ、上等だ」

反対しないでくれた。




「黙れ!」

空夜の一喝で再び静まる倉庫。

「文句あるならでてこい。聞いてやる」

倉庫内に、空夜の声が響いた。

少し優しげなその声に、おずおずと

「なんで、そいつなんですか…?」

一人の男が声をあげた。

「今まで総長たちは姫を作らなかったのに…。
いきなり来たそいつを姫にするって、どうしてですか?」


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