翼~開け放たれたドア~
シン…とした空間に響く声。

やっぱり…。そう思った。

反対する人は、きっとここにいるほとんど。

「…雅人マサトには守りてえもんあるか?」

空夜の問いかけに「はい!」と強く言った男の子。

青い髪のその人は雅人というらしい。

「俺には好きな人がいて…そいつを守りたい。
家族だって守りたいし、友達も守りたいです!」

「一緒だ」

「一緒……?」

「俺もこいつを守りてぇ。
突然だろうが何だろうがそれは変わらねえ」

それに、と空夜は続けた。

「こいつはな、お前らが思ってるよりずっと苦しんでいる」

──ドクン

ビクッと身体が跳ねてしまった。

「側にいてやりてえ。救ってやりてえ。
だから、姫にしたい」

真剣な声は、私の身体を震わせた。

なんで。

こんな他人にそこまでできるの。
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